はじめに
ゲームを起動した瞬間、あのファンファーレが流れる。
それだけで胸が高鳴る。そんな体験をしたことがある方は、きっと同世代に多いはずです。
ドラゴンクエストの音楽は、単なるゲームのBGMを超えた存在です。作曲家・すぎやまこういち氏によって生み出されたその楽曲たちは、クラシック音楽の手法を取り入れた本格的なオーケストラサウンドで、発売当時の子供たちに「ゲーム音楽はここまで凄いのか」という衝撃を与えました。
ピアノを習っていた経験がある方なら、あの美しいメロディラインに特別な感動を覚えたのではないでしょうか。
すぎやまこういち氏とはどんな人物か
すぎやまこういち氏は1931年生まれの作曲家です。もともとはテレビ番組や歌謡曲の作曲家として活躍しており、「亜麻色の髪の乙女」などのヒット曲でも知られています。
ドラゴンクエストの音楽を担当することになったきっかけは、ゲームファンだった氏自身がエニックスにファンレターを送ったことだったと言われています。そこからドラクエシリーズとの長い歴史が始まりました。
氏の音楽の特徴はクラシック音楽の正統な手法をゲーム音楽に持ち込んだことです。当時のゲーム音楽といえば電子音が主流でしたが、すぎやま氏は最初からオーケストラでの演奏を意識した楽曲を作り続けました。
2021年9月、90歳でご逝去されました。その偉大な功績は、今も多くのファンの心の中に生き続けています。
名曲たちの魅力
「序曲(ロトのテーマ)」
ドラゴンクエストといえばまずこれ。ゲームを起動すると流れるあのファンファーレです。わずか数十秒の曲ですが、これを聴くだけで「冒険が始まる」という高揚感が全身を駆け巡ります。あまりにも有名になりすぎて、今やコンサートや式典でも演奏される一曲です。
「冒険の旅」(ドラクエ3)
フィールド曲の中でも特に人気が高い一曲。雄大な旅の始まりを感じさせるメロディは、聴くだけで広大な世界を歩き回っていた記憶がよみがえります。ドラクエ3といえばこの曲、という方も多いのではないでしょうか。
「そして伝説へ」(ドラクエ3)
エンディング曲の金字塔です。長い冒険の末にこの曲が流れたとき、思わず涙した方もいるはず。序曲のメロディが織り込まれた構成は、冒険の始まりと終わりを美しく結びつけています。
「勇者の故郷」(ドラクエ4)
切なさと温かさが共存する名曲です。ドラクエ4の感動的なストーリーとあいまって、今でも多くのファンに愛されています。ピアノで弾くと特に美しいメロディです。
「戦闘シーンのBGM」各作品
ドラクエの戦闘曲もまた名曲揃いです。緊張感と高揚感が絶妙なバランスで共存しており、何百回と聴いても飽きない完成度があります。
「Lovesong探して」(ドラクエ2)
ドラゴンクエスト2の復活の呪文画面で流れる、歌詞のついた珍しいドラクエ楽曲です。長い呪文を必死にメモしながら、このメロディを聴いていた記憶がある方も多いのではないでしょうか。何気ない場面にこれほど美しいメロディを当てたすぎやまこういち氏のセンスは、今改めて聴いても色褪せません。
「この道わが旅」(ドラクエ2)
ドラゴンクエスト2のエンディング曲として作られ、初代ダイの大冒険アニメのエンディングテーマとしても採用された名曲です。穏やかで温かみのあるメロディは、冒険の終わりと次の旅立ちを同時に感じさせます。ダイの大冒険と一緒に育った世代にとっては、アニメの思い出とセットで心に刻まれている方も多いはずです。
「勇者の挑戦」(ドラクエ3)
ダイの大冒険アニメで、ダイの額に紋章が現れ敵を圧倒するシーンで流れたBGMです。あのシーンであの曲が流れた瞬間の鳥肌は、今でも忘れられません。すぎやまこういち氏の楽曲の中でも特に「魂を揺さぶる」という言葉がふさわしい一曲で、同世代のダイファンにとっては最強の名曲といっても過言ではないでしょう。
「果てしなき世界」(ドラクエ2)
ドラゴンクエスト2のフィールド曲で、広大な世界を旅する高揚感と孤独感が絶妙に混ざり合った名曲です。ドラクエ1の「広野を行く」と比べてスケールが一回り大きくなり、「続編らしさ」を音楽だけで表現しています。ピアノで弾くと左手の伴奏と右手のメロディのバランスが美しく、弾いていて気持ちの良い一曲です。
オーケストラコンサートという文化
すぎやまこういち氏が生み出したもう一つの偉大な功績が、ゲーム音楽のオーケストラコンサート文化です。
「ドラゴンクエストコンサート」は1987年から開催されており、ゲーム音楽をフルオーケストラで演奏するという当時としては革新的な試みでした。これがゲーム音楽の地位を大きく引き上げ、後のFF音楽コンサートなど様々なゲーム音楽イベントの先駆けとなりました。
生のオーケストラで聴くドラクエ音楽は、ゲームで聴くものとはまた違った感動があります。機会があればぜひ一度足を運んでみてください。
ピアノとドラクエ音楽
ピアノを習ったことがある方なら、ドラクエの楽曲をピアノで弾いてみたいと思ったことがあるのではないでしょうか。
実際にドラクエの楽曲はピアノとの相性が抜群です。すぎやまこういち氏の楽曲はクラシック音楽の理論に基づいて作られているため、ピアノで弾いても美しいハーモニーが生まれます。
「勇者の故郷」や「果てしなき世界」などはピアノソロでも十分に魅力が伝わる名曲です。久しぶりにピアノの前に座って、懐かしい曲を弾いてみるのも良いかもしれません。
まとめ
すぎやまこういち氏が作り上げたドラゴンクエストの音楽は、単なるゲームBGMの枠を超えた芸術作品です。
子供の頃に夢中になってゲームをプレイしながら無意識に耳に刻み込まれたあのメロディたちは、大人になった今でも私たちの心の奥深くに生き続けています。
もし久しぶりにドラクエ音楽を聴きたくなったら、SpotifyやYouTubeで「ドラゴンクエスト オーケストラ」と検索してみてください。あの頃の記憶が、鮮やかによみがえってくるはずです。
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