駅近くの駄菓子屋、あの日出会ったストリートファイターII
駅の近くにあった小さな駄菓子屋。店の奥にはいつも数台のアーケード筐体が並んでいて、そこで初めて「ストリートファイターII」に出会いました。正確には、私が最初にプレイしたのは「スト2ダッシュ」の英語版でした。当時はそんなことも知らず、ただ夢中でボタンを連打していただけです。
ある日、一緒にプレイしていた友達が教えてくれました。「これ、英語版だよ」と。対戦後に表示されるセリフが英語表記になっていること、四天王(ボスキャラ)の名前が通常版と違っていること——正直、それまで気にしたこともありませんでした。
さらに、1人プレイでどうしても勝てなかったのも、実は英語版特有の難易度だったのかもしれないと、ずっと後になってから知ることになります。当時は「自分が下手なだけ」だと思い込んでいたので、この事実を知ったときは妙に納得したのを覚えています。
ケンで練習、友人との真剣勝負
最初に使い込んだキャラクターはケンでした。とにかく操作がわかりやすく、練習にはうってつけだったのを覚えています。
ある程度操作に慣れてきた頃、友人に「乱入」してもらう機会がありました。CPU戦で負けそうになると、友人に乱入してもらうのがお決まりのパターンです。ただし、いきなり真剣勝負をするわけではありません。まず2ラウンドは練習としてプレイしてドローにし、満を持して3ラウンド目で本気の勝負を挑む——そんな独自ルールで、よく友人と対戦していました。1人プレイではなかなか勝てなかった私が、この3ラウンド目でようやく接戦を演じられたときの高揚感は、今でも鮮明に思い出せます。
その後よく通っていたのが、今は無き、ボウリング場に併設されたゲームセンターでした。ここには大画面の筐体があり、私はバルログを使い込むようになります。イズナドロップを決めたときの爽快感は格別で、何度も同じ技を狙って対戦を重ねていました。
シリーズを遊び継いで気づいたバージョンごとの違い
スト2シリーズは、その後もバージョンアップを重ねていきます。当時はそれぞれの違いを肌で感じながら、夢中で追いかけていました。
ノーマル版:バルログ不在に戸惑う
ダッシュより後にプレイしたのが、実はノーマル版でした。バルログが使えず、キャラクターの数も少ない——正直、物足りなさを感じたのを覚えています。そもそも「ダッシュ」というバージョン名があること自体、当時の私は知りませんでした。子供心に、シリーズの成り立ちなど気にする余裕はなかったのだと思います。
ターボ:弱体化したイズナドロップとスピードの洗礼
ターボ版になると、バルログがかなり弱体化していました。得意技だったイズナドロップの威力が大幅に落ちてしまい、勝手が変わってしまったことに戸惑ったのを覚えています。加えて、異様に速いゲームスピードについていくのが本当に大変で、対戦のたびに苦戦していました。
スーパー:新キャラの印象は薄く
スーパーストリートファイターIIでは新キャラクターが4人追加されましたが、正直それほど魅力を感じられませんでした。ゲーム全体のテンポも重くなった印象があり、あまりプレイしなかった記憶があります。
X(グランドマスターチャレンジ):シリーズ最高傑作との出会い
個人的に、このXが最高でした。餓狼伝説2の方が超必殺技の実装は先でしたが、スト2シリーズとしては初めて空中コンボが繋がる仕様が導入され、対戦の奥深さが一気に増しました。スト2シリーズの集大成として、これ以上のものはないのではないか——当時からそう感じていました。
その後「ハイパーストリートファイターII」も登場しましたが、Xの派生版という印象が強く、どちらかというとコレクター向けの一本という位置づけだったように思います。
スーファミ版:憧れと現実のギャップ
発売日にこそ買えませんでしたが、後になって手に入れたときは「もうゲーセンに行かなくていいんだ」と本気で思いました。ところが、いざ蓋を開けてみると、アーケード版とはあちこちが違っていたのです。BGMの音程が違う。ピンチになってもBGMが変化しない。打撃音も違う。キャラクターのボイスまで違う——違和感だらけでした。
当時は小学生だったので「移植度」なんて言葉も知らず、ただ「同じものが家でできる」と信じて期待していただけに、ショックは大きかったです。結局、その後もゲームセンターに通う日々に逆戻りすることになります。
PCエンジン版:8ビット機の意外な健闘
スーファミ版の後、PCエンジン版(ターボではなくダッシュの移植)をプレイする機会がありました。8ビット機でありながら、16ビット機のスーファミ版よりもむしろ出来が良く、アーケード版の雰囲気を感じられたことに驚いた記憶があります。BGMの音程もアーケード版そのままでした。なんでも、AC版の開発スタッフがPCエンジン版の開発の応援に入っていたという話も耳にしたことがあります。
Xの家庭用移植、その数奇な運命
Xの家庭用移植は、なんとも不遇な道をたどりました。
Xが登場した当時、私は中学生でした。駅に併設されたデパートの階段の踊り場に、3DO版Xの体験版が設置されていて、そこで初めてプレイしました。初めて触れる32ビット機ということもあり、それまでの家庭用ゲーム機とは比べ物にならないほどの移植度に感動したのを覚えています。
とはいえ、3DO本体はとても高価で、中学生の私には到底手が出ませんでした。それなのに、なぜかXのソフトだけは買ってしまったのです。本体がないのでプレイできないのに——今思い返すと、我ながら不思議な行動だったと笑ってしまいます。
当時主流だった家庭用ハードには発売されず、最初に登場したのは3DO版でした。プレイステーション版が発売されたのは、3DO版から約3年後のこと。しかも単独タイトルではなく、「ストリートファイターコレクション」という合本ソフトの一部としての発売でした。
移植度自体は3DO版よりも格段に向上しており、アーケード版に近いクオリティになっていたのですが、私が実際にプレイして気になったのはロードの長さでした。再現性の高さよりも、そのロード時間の方が印象に残ってしまったのは、少し残念な思い出です。
その後もドリームキャスト版、ゲームボーイアドバンス版、アニバーサリーコレクション版など、様々な形でXは移植されていきました。
今の目標、AC版を手元に
こうして振り返ってみると、スト2は本当にいろいろな形で遊んできたのだと改めて実感します。
最終的な目標として、今もアーケード版の基板を手元に置いておきたいと思っています。ただ、AC基板にはバックアップ電池の劣化という宿命的な問題があります。この電池問題を解決するところまでしっかりやり遂げたい、というのが今の目標です。
スト2の思い出(番外編)
駄菓子屋やデパートに設置された筐体からは、いつもダルシムステージのゾウの「パオーン、パオーン」という鳴き声や、サガットの「タイガー、タイガー」という声が聞こえていました。その音を耳にすると、なんとなく安心感があったのを覚えています。
当時はまさかそれが社会的なブームだったとは、小学生だった自分には知る由もありませんでした。後になって知ったのですが、インベーダーゲーム以来と言われるほどの熱狂だったようです。
今すぐ、あの頃のスト2をもう一度
記事で紹介したダッシュ、ノーマル、ターボ、スーパー、Xまで、当時のバージョンが日本版・海外版ともにまとめて収録された「ストリートファイター30thアニバーサリーコレクション インターナショナル」なら、あの頃のプレイ感覚を今も味わえます。ミュージアムモードでは懐かしいイラストや音楽にも触れられます。
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まとめ
駄菓子屋の片隅にあった1台のアーケード筐体から始まった、私とストリートファイターIIの関係。バージョンを重ねるごとに一喜一憂し、時には友人との対戦に熱くなり、時には家庭用移植の出来に一喜一憂する——そんな日々が、今振り返ると私の青春そのものだったのだと思います。
単なる懐かしいゲームというだけでなく、あの頃の空気感まるごと含めて、これからも大切にしていきたい記憶です。

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